PROJECT STORY

プロジェクトストーリー

大丸心斎橋店本館
建替えプロジェクト

新時代の百貨店を一から創り上げていく。
その原動力は若さあふれる志とパワーだ。

2019年秋の開業を予定し、建替えが進んでいる大丸心斎橋店本館。
「百貨店の未来形」を銘打ち、従来型店舗とは一線を画した独自の個性と特徴を目指す新店がどのように形づくられつつあるのか。
建替えプロジェクトの最前線に立つ二人の先輩社員を追った。

PROJECT MEMBER
  • 立川 俊之
    立川 俊之

    TACHIKAWA TOSHIYUKI
    本社 心斎橋新店計画室/2003年入社
    文学部宗教学専攻修了

    入社して約5年間、大丸京都店で店頭販売や販促企画に従事。その後、労働組合活動や会社の教育制度を活用したMBA取得を経験し、さらにホールディングカンパニーへ出向して関連企業の経営管理業務にも携わった。2016年より現在の部署で新店立ち上げの多様なオペレーションを担当。

  • 石原 拓磨
    石原 拓磨

    ISHIHARA TAKUMA
    本社 心斎橋新店計画室/2012年入社
    工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻修了

    入社後大丸東京店へ配属になり、約1年間売場を経験。翌年、銀座にオープンした大型商業施設「GINZASIX」のプランニングを推進する部署に配属され、テナント誘致や開業後のマネジメントを担当。2017年秋に現在の部署に異動となり、培ったリーシング分野でのノウハウを発揮している。

テナント構成、環境、サービス、オペレーションetc.ー
あらゆる方向から理想の形態を探っていく

 J.フロントリテイリングが掲げるアーバンドミナント戦略(※)に基づき、2016年に建替えが始まった大丸心斎橋店本館。建替えにおいては変化し続ける世相や多様化の一途をたどる顧客ニーズを踏まえ、各フロアのコンセプトやサービス内容などハードからソフトに及ぶ全面的な刷新が求められた。建替えプロジェクトを牽引する新店計画室の創成メンバーの一人に招集されたのが、多彩な業務経験を積んでいた立川。新店舗の基軸になるさまざまな物事を決定し、具体化していかねばならない少数精鋭のチーム内で、立川には大小多岐にわたる役割が委ねられた。
「新店舗のコンセプトづくりや全体計画の策定に始まり、従業員用施設やバックヤード機能の整理、お客様へのサービスと提供オペレーションの方向付けに至るまで、着任当初より多角度から開業要件を煮詰めていくことに奔走しました。
そのプロセスではマーケティングのために各界の有識者から意見を聞いたり、お客様へのダイレクトインタビューを実施したりと、とにかく前例のない取り組みが多かったですね。あらゆるシーンでトレードオフや従来のやり方の否定に直面し、苦心の連続という印象です。なかでも困難を感じたのが、これまでの百貨店ビジネスと不動産的なビジネスをミックスするスキームに臨んだときでした」(立川)
 百貨店には様々なカテゴリーのテナントが入店しているが、通常そのほとんどが仕入れ取引を基本にした運営。店舗での売上は百貨店売上として立ち、各テナントへは仕入れ代金が支払われる形だ。売上向上に向けたパートナーシップが密接で、百貨店側もテナントの品揃えや販売活動、販売促進に関して深く関与してきた。
 生まれ変わる心斎橋店では、テナントの自律性・世界観を重視する定期借家契約を積極的に採用することになる。営業の仕方や売上目標作りよりも館と響きあう魅力的な店舗づくりに力点が置かれた。従来からの仕入れ契約店舗と新規参画する定期借家契約店舗における一貫性の確保と各事業者のベストパフォーマンスの追求。立川は多様な業務に忙殺される中で、新テナントの誘致や契約、取引条件の整備などを進めるリーシング分野にひと際の力を注がねばならなかった。
(※)店舗を中心に、その周辺エリアに中小店舗やブランドショップをドミナント展開。エリア全体の集客力を高め、周辺地域とともに成長する独自戦略。

新店舗のフィロソフィーを訴求し
目標のリーシングに成功

 心斎橋新店の土台構築に奔走する立川のもとに、2017年秋、頼りになる新メンバーがやってきた。東京・銀座に斬新なコンセプトワークで誕生した巨大商業施設「GINZA SIX」プロジェクトに尽力した石原である。石原はGINZA SIXの立ち上げに深く関わり、確かなリーシングの実績を上げていた。それを買われて、今回の新店計画室でテナント誘致や契約締結、管理業務など実務面の推進役を担うことになったのだ。
「当社は心斎橋という地域において300年近く商売を続けており、長年のファンというお客様もたくさんおられます。そのようなお客様の期待を裏切らないと共に新たなお客様にもお越しいただくためには、これまでの提供価値を継承しながら新たな心斎橋店を創造することが必要です。ゼロベースでテナントを集めていったGINZA SIXとは異なる難しさがあり、コンセプトに合致した店選びと社内外での調整には相当に注意を払いました」(石原)
 新たな魅力付けの一つとなる、ある海外ブランドは新規出店する際に単にビジネスの損得勘定だけではなく、その場所ならではの歴史や文化と自らのブランドの哲学とのマッチングを重要視していた。複数回の折衝を通じてその想いの強さを実感した石原は、新店舗のコンセプトを真に理解してもらうことに注力。大丸松坂屋百貨店の企業としての長い歩みをまとめた文献資料を用意するとともに、ブランドの本国法人から責任者を招き、歴史的な建物の外壁保存の技術、実際の施工方法について、工事事業者から直接現場で説明をしてもらう場を用意した。その熱意を込めたプレゼンテーションで見事に共感を獲得し、出店決断の意思を引き出した。
「出店をご決断いただくにはロジックとストーリー性を兼ね備えた説明が不可欠で、過去から現在、そして未来を俯瞰しながら入念に準備を行いました。狙い通りの結果を出せた要因としては、立川さんをはじめ新店計画室のメンバーや関係各社の厚い協力によるもので、社内外問わず人を巻き込む力が営業には必要です。この後も詰めないといけないことは山積みですが、その過程を楽しんでいきたいと思います」(石原)

プロジェクトで得たマクロな視点で
百貨店の未来を追い続ける

 心斎橋新店の開業準備も佳境を迎えた現在(取材は2019年1月時点)、立川、石原はともにプロジェクト完遂への最後の山場のまっただ中。試行錯誤の場面は幾度となくやってくるが、両名が重ねてきた努力と成果は着実に理想の店舗実現をたぐり寄せている。同時にそのひとつ一つが、それぞれにとって自己の成長と、次なるステップへの飛躍のエネルギーになっている。二人が本プロジェクトへの参加で得たものを振り返って、今後の目標を次のように語った。
「外部の専門家や有識者とのコラボレーションを通じて、多角的なものの見方や適切な共同作業の進め方を体得できたのが大きいですね。信頼関係を築きながらチームの連携を引っ張っていく自信がつきました。個人的に今回のようなプロジェクト全体のマネジメントには特別な関心があり、力を発揮できると考えているので、これからも百貨店事業にかかわらず、新規事業開発などの異分子結合の醍醐味を味わえるエキサイティングなプロジェクトに果敢にチャレンジしていきたいと考えています」(立川)
「不動産に関連する事業は、百貨店が手掛ける多彩なビジネスの中でも大きな成長分野だと捉えています。私はGINZA SIXとこのたびの心斎橋新店プロジェクトでその専門性を高めていけた立場として、さらにこの事業の可能性を追求していきたいですね。もともと、都市開発や地域活性化に興味があって地域のランドマークである百貨店業界に飛び込んでいますから、不動産を軸にした新たなビジネスモデルを確立し、展開できる人材を目指して頑張るつもりです」(石原)
 "もの"の販売から多様な価値の創造と提供へ--。今日の百貨店ビジネスは既存の枠組みや思考体系では捉えきれない広大な領域へと広がっている。装い新たに登場する心斎橋本館も、独自の付加価値を詰め込んだ、かつてなく進化した姿を見せてくれるはずだ。それを体現するのは若い立川と石原が持つ意志と力。二人の双眸は新店完成の日と、その先の百貨店の無限の可能性に向かって輝きを放ち続けている。

学生の皆さんへのメッセージ

立川俊之これからの百貨店はお客様が「ものを買う場」から、リアル店舗をゲートにした「体験の場」になっていくはずです。視点を変えれば、さまざまな楽しみ方を発信する新しいメディアになっていくと思います。ひょっとしたら百貨店という業態ではなくなっているかもしれません。志望企業のスクリーニングの際には、将来の変化の振れ幅を意識してアタック先を絞り込んでみることをおすすめします。その意味でも、変革を楽しめる方、お待ちしております。

石原拓磨私は入社2年目から大型プロジェクトに携わりましたが、大丸松坂屋百貨店には若いうちから大きなチャンスを与え、責任ある仕事を任せてくれる風土があります。「入社何年目にはこの仕事」というように、キャリアステップが固定されているわけでもありません。百貨店本来の事業はもとより実にたくさんの仕事があるので、自分の力を信じていろいろなことにチャレンジしてみたい人には最適な会社だと思います。