暮らしとアートの
距離を近づけようとしている人

本社 経営戦略本部 DX推進部 デジタル事業開発担当

S.M

2008年入社/環境人間学部出身

わたしのキャリア

2008.4
大丸心斎橋店 紳士洋品売場
2009.9
本社 マーケティング企画推進室 店づくり推進部
2017.3
本社 MD企画・新規事業開発室MD企画部ストアデザイン 兼 未来定番研究所
2020.9
本社 経営戦略本部 DX推進部 デジタル事業開発担当

いまの仕事

経営戦略本部 DX推進部 デジタル事業開発担当 プロジェクトマネジャー

「日本のアートと、百貨店の交差点をつくる仕事」

DX推進部は、百貨店のあり方をデジタルからあたらしくする部署です。私の担当はアートメディア「ARToVILLA」の運営と新規事業の構築。いまは日本のアート業界にある「観るけれども買わない」という課題に対して、アートを買うライフスタイルの発信をしています。商談、リサーチ、美術館・ギャラリー廻りなど活動は多岐に渡りますが、第一線で活躍するアーティスト・作家・建築家と接する機会も多く、日々新しい発見があります。また、彼らの思考や発想を取り入れながら百貨店の未来、アートの未来をじっくり考えるのも仕事です。

もっと教えて、一問一答

Q1. アートメディア「ARToVILLA」を設立した背景を教えてください。
アートのある暮らしを、当たりまえにしたい。

この思いを実現するメディア、コミュニティ、プロジェクトとして2022年に「ARToVILLA」を立ち上げました。私自身も「アートに心が動かされることは、とても人間らしい営み」と考えていて、アーティストのまなざしに心動かされるファンの一人です。日本はアートを「観る」には恵まれた環境で、美術館はたくさんありますし海外の名作も続々とやってきます。一方で「買う」機会は限られているのが現状です。「ARToVILLA」を通して「アートを買うと暮らしはこう良くなるよ」「こんないいことがあるよ」という具体的な提案をして、敷居をどんどん低くしていきたいです。

Q2. 「百貨店だからできること」を教えてください。
マーケットをつないで、持続可能に。

日本では“売れる”商業的なアートマーケットと、“由緒正しい”学術的なアートマーケットが大きく分かれています。以前から「商業」と「学術」を行き来する作家が増えたら、金銭的にも質的にもアーティストたちの活動はより持続的になると考えてきました。今秋開催される国際アートイベント「ARTISTS' FAIR KYOTO」では2組のアーティストを、大丸松坂屋百貨店として資金・販売・発信面で支援する予定です。これは百貨店が制作自体を支援するあらたな取り組みでもありますが、学術と商業の世界をマージさせる挑戦でもあります。

Q3. 忘れられない仕事はありますか?
心斎橋店再開発のアートプロジェクト。

2019年まで大丸心斎橋店のリニューアルプロジェクトを担当していました。このプロジェクトでは、大丸の300年の歴史や、築80年のヴォーリズ建築の物語をどう活かすか、そして次の100年も機能する耐久性のある表現とは何かを真剣に考えました。中でも印象に残っているのが、クリエイターの作品制作へのディレクション。ライゾマティクス(現flowplateaux)とのコラボレーションでは、デジタルと彫刻をかけ合わせた「D-WALL」を制作しました。心斎橋店の1F―10Fを貫く巨大な壁面インスタレーションで、エスカレーターの価値を「移動」から「鑑賞」に変えてくれた実感があります。

Q4. 「百貨店」ってなんだと思いますか?
潜在的な気持ちを、世の中に表出させる。

例えば「アート作品を買うよろこび」の本質を辿っていくと、「自分らしい洋服や家具を吟味して買うよろこび」に似ている側面があります。そう考えると大丸松坂屋百貨店は多くの潜在的なアートファンとつながっていることに気づきます。それならば、若い世代への入り口として、アイドルに「アートのわからなさ」を語ってもらったり、お笑い芸人でもありアートコレクターである方に「作品との出会い」を聞きにいったり。いろいろなカルチャーを入り口に、押し付けがましくなく「実は好きかも?」に気づいてもらう活動も百貨店らしいのかなと思います。

Q5. これからどんなことに挑戦してみたいですか?
「おもしろいこと、大企業でもできるよ」。

これからは効率よりも情緒が重視されると予測されていますよね。とはいっても今は資本主義社会で情緒の文脈だけで生きていくことは難しい。だからこそ、百貨店が両者をやわらかくつなぐ役割を担いたいと考えています。もう一つ叶えたいのは、正解がない時代に「大企業で働く」ことに戸惑う若い人たちにあらたな働き方を提示すること。日本をより良くするためには一部のクリエイターやスタートアップが局所的におもしろいことをするだけでは足りません。大企業ならではの壁はありますが、大きなインパクトを作れる規模もあります。一緒にやったらおもしろいことができると言ってもらえる存在になりたいです。

黒い服を着た男性がアート作品を持って立っている
※所属部門/役割は2023年8月時点のものです
www.daimaru-matsuzakaya.com